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シラン高架橋 Viaduc de Sylans
高速道路A40の
シラン高架橋は、最もフランスらしくて、技術的にも革新的な構造物。スイス国境に近い山の斜面に、逆三角断面のコンクリート製のダブルワーレントラス(工場生産)が並ぶ姿は斬新で、コンクリート橋発祥の地フランスならではのもの。デザイン担当のピエール・リシャール(Pierre Richard)と構造担当のボグミル・セラファン(Bogumil Serafin)の見事な合作。なぜ、トラスなのか? それは、このコンクリート橋が外ケーブルを使ったPC橋でもあるから。従来の埋め込み型のPCだと、内部のPCケーブルが腐食しても分からず崩壊の恐れがあるが、外ケーブルだとケーブルの腐食を常にチェックできる。日本では、中を空洞にしたコンクリート桁の中に外ケーブルを入れるが、シラン高架橋では、白いダブルワーレントラスで内部に黒いパイプに入った外ケーブル(それぞれのスパンごとに12本のケーブルが、桁の端部の上から下部の桁を斜張橋のように引っ張り上げている)を入れることで、見えにくくするというアイディアを採用した。お陰で、ケーブルの腐食は外から簡単に確認できるし、見た目も美しい。シラン高架橋は全長1268m(55m、60.6mが19連、59.8m)で1989年完成。逆三角断面と書いたのは、道路の通る上面全幅が10.75mであるのに対し、下面は3.80mしかなく、その間に斜めにトラスが入っているから。実はその1年前に同じA40用に作られたグラシエール高架橋(Viaduc des Glacières、長さ214m)も、同じ2人によって作られている。

美しきシラン高架橋は、完成から34年後の2015年11月、外部ケーブルの1本が突然断裂するという事故に見舞われた。翌月新ケーブルに交換されたが、その後 徹底的な原因究明が行われ、破断の原因は下部での浸水による2ヶ所の損傷と、上部のカバーの損傷と判明。側面がトラスで雨や雪が吹き込み、それが溶接の不良個所や、カバーの亀裂から入り込み、結果的にケーブルの腐食を招いた。その対策として、①グラシエール高架橋とシラン高架橋の即時全面点検、②今後の定期検診(毎月、その後2ヶ月ごと)、③より耐久性のあるケーブルへの順次交換が決まった。下の写真は、下に記載されているサイトから取得した 「最初に破断が見つかった時」 の様子。