ロクファブール水道橋は、世界で最も高い(82.65m)石造の水道橋。1833~34年の干ばつによる給水制限を受け、マルセイユ市長のマクシマン・ドミニク・コンソラ(Maximin Dominique Consolat)は、デュランス(Durance)川からマルセイユに水を送る長さ80kmの水路の建設を決めた。その計画の最大の難関は、アルク(Arc) 渓谷。市長は、計画案の作成を技師のジャン・フランソワ・マヨール・ドゥ・モントリシェール(Jean François Mayor de Montricher)に依頼し、彼の “サイフォンを使わず水路橋を建設する案” を、多額の経費を要するにもかかわらず了承した。その結果、1847年に完成したロクファブール水道橋は、長さ393m、ガール水道橋を意識した3段構成の石造アーチ。1段目は高さ34.10m、スパン15mの半円アーチが12連、2段目は高さ37.60m、スパン16mの半円アーチが15連、3段目は高さ10.95m、スパン5mの半円アーチが53連と、樹木に埋もれた1段目より、遠くから見える2段目を重視する構造となった。水道橋は細部のデザインにも凝っていて、最上部にはモールディングを連続させ、1・2段目の橋脚の側面には一定間隔で石を張り出させてアクセントを付けるなど、水道橋としては例外的に華麗な構造物となった。3段目にはガール橋のような水路ではなく鉄管が敷設されたが、時代による変化に合わせて増設され、今ではマルセイユの水道の80%をまかなう貴重な存在。なお、橋の大規模な修復は2020~24年にかけて行われた。1枚目の写真は遠景で、水道橋の美しさが全く分からない。2枚目の写真で、ロクファブール水道橋の素晴らしさがよく分かる。3枚目の写真は、より近くから撮ったもの(当時のメモには、「トゲトゲの葉の茂る斜面の僅かな踏み跡を無理矢理登りつめて、橋を斜めに見上げる絶好のポイントまでやっとの思いで辿り着いた。汗が噴き出る。そのくらい暑い。快晴。文句を言う筋合いではないが、とにかく暑い」と書いてある。教会や城と違い、こうした物を撮影するのは、大変なことだ)。