トゥールーズのジャコバン修道院の一番重要な構造物であるジャコバン教会(Église des Jacobins)は、1230~98年という短い時間でほぼ完成した。特徴的なのは、サン=セルナン大聖堂よりも石材の使用を減らし、基本的には、身廊と内陣の天井を支える柱以外は、すべて煉瓦で作られた。この点、アルビのサント=セシル大聖堂(No.52)と同様だが、大きく違う点が2つある。一つは、通常は2列ある身廊の柱を1列に減らしたこと。これにより、側廊がなくなり、いわゆるホール式を思わせる内部構造となった(本当の意味でのホール式は、ランツフートのように、2列でありながら、身廊と側廊の高さを同じにした場合)。もう一つの点は、アルビでは城塞のような外観を持たせるため、身廊内部に補強柱を立て、それで交差リブヴォールトを支えた。城塞のような外観を必要としないジャコバン教会では、身廊の外側に大きな補強柱を立て、「飛梁と控壁」なしで交差リブからの外向き重力に持ち堪えた。修道院には必須の回廊は、教会堂が完成してすぐの1306~09年に作られた。柱と柱頭の植物文様だけは石。木造瓦葺の片流れ屋根を支えて石柱に伝えるのは煉瓦の尖頭アーチ。1枚目の写真は、内陣側から撮った「身廊を支えるため、凸型に突き出した壁」(100%煉瓦造)。2枚目の写真は、身廊の中央に1列の柱。柱は身廊の中央に建っているので、左右の天井高(28m)は同じにならざるをえない。3枚目の写真は回廊の中庭。モワサック(No.50)とよく似ている。